創造の過程
建物外観
"アート"と"音"を内包する建物は森の中にあり、その森にある樹木を映し込む鏡のようなガラスに囲まれています。中に入ってみれば四季の花や滝から流れでる水、そして森の木々がジグザグに立てられたガラスを通して見えます。夜にはオリジナルの椅子につけられた照明の光がガラスに映り込んで昼とは全く違う雰囲気になっています。
日比野克彦さんには、建物の顔となる扉やステンドグラス風の背景をつくってもらいました。5メートル四方に厚い古材を貼り付けた扉をグラインダーで削ったりバーナーで焦がしたりしながら、まさに体を張っての製作でした。
秋田市内の学校の学生に森の中にある木の実や植物などを集めてもらい、それを目に焼き付けるかのようにじっと見つめたかと思うとおもむろに古材に刻み込んでいく。そんな作業を繰り返しながらだんだんと出来上がっていきました。写真ではわかりにくいと思いますがいろいろなモチーフが散りばめられ、暖かい、そして力強い"作品"であり、筆の勢いならぬグラインダーの勢いまで感じられる類を見ない、ここでしか見られない日比野さんの“作品”となる大扉です。
大扉、中扉、祭壇のアートワーク
そしてサウンド・スペース・コンポーズ
井出祐昭さんは表参道ヒルズなどの音環境を手掛けている方です。世の中に数多くあるセレモニアルホールと呼ばれる施設の多くは、音の環境について意外と考えられていないような気がしていました。映画館や劇場、コンサートホールなどであればそんなことはないのですが、結婚式場のようなところでは利用時間が短いこともあって"音"は大事にされていないと思うのです。でもここで式を挙げられる二人にとってはまさに舞台に立つのと同じくらい晴れ晴れとした出来事な訳ですから、音のもつパワーや優しさ、エネルギーのようなものを大事にしたいとお願いし、ここに聖域空間の音ととでも呼べるような音環境が作り出されました。残念ながらこればかりは実際に体感して頂くしかありませんが、ここではコンサートも行われているくらい、音が気持ち良く感じられる空間になっているのです。
クリスタル・サーカス・フォレスト