Forest of Kaito Office Inc.

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アーティストの息づかいを体感する空間

基本構想

この建物を考えはじめたときというのは、ちょうど21世紀になろうとしていたころでありました。その頃すでに環境問題や過当競争の果て、戦争まで行き着いてしまいかねない国際問題などが見えていて、大きなシステムの転換や改革が急務と言われていました。変革の必要なシステムは、国家の政治・経済のありかた、会社の運営はもちろん、個人の生き方の思想まで含まれるものであると思われました。

 そしてそのような中で、"価値観の変貌"がすでに姿を表しかけていました。コマーシャルが「ものより、できごと」といいインターネットの世界では、人種の違いや住んでいる地域、国籍、さらには時間などもなんの障害もないという感覚を体感しつつありました。
 拝金資本主義が終焉を迎えようとしている今日にあってやっと取り戻したといいましょうか、"価値観"はそれぞれ個人の"感性"の中にあるのだと思われるのです。そして"感性"というような一見とらえどころのないものが、実は人間ひとりひとりの個性・人格の源なのだから、"感性"が自由に、豊かに広がる関係や環境、空間がますます大事になっていくだろう。そんな場所に、建物にしたらどうだろうかということをはじめにグランドパレス川端さんと話をしました。

ここにしかない魅力をつくる。“アートワーク&サウンドスペース”

建物については"感性"を育て鋭敏にしていくために必要な、みずみずしい"感性"にみちた「どこかにあったようなのに、どこにもない、懐かしいのに新しい」そういう「場」を創るためにアートワークに日比野克彦さんを、また音の環境創造のために井出祐昭さんにお願いしました。

クライアントからのメッセージ。

 地球に残された豊かな自然を将来まで伝える。これは私たちに課せられた使命のひとつ。それには、この地球を愛し、慈しみながら、ここに住み続ける人が必要です。最近結婚しないという人が増え、人口を減らす原因のひとつとなっています。結婚の煩わしさが、結婚をしない理由になっているとすれば、それは私たちの怠慢です。多くの方々が、結婚に夢を描き、こんな場所で個性的な結婚式がしたい、と思っていただけるような施設が欲しい。豊かな自然に融合し、世界から人が集う、芸術性の高い施設をつくりたい。その思いから、「クリスタルサーカスフォレスト」は生まれました。
グランドパレス川端 代表取締役社長(現在会長)齋藤誠助氏

施工:興和建設株式会社 家具設計:篠崎隆


創造の過程

建物外観

"アート"と"音"を内包する建物は森の中にあり、その森にある樹木を映し込む鏡のようなガラスに囲まれています。中に入ってみれば四季の花や滝から流れでる水、そして森の木々がジグザグに立てられたガラスを通して見えます。夜にはオリジナルの椅子につけられた照明の光がガラスに映り込んで昼とは全く違う雰囲気になっています。
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 日比野克彦さんには、建物の顔となる扉やステンドグラス風の背景をつくってもらいました。5メートル四方に厚い古材を貼り付けた扉をグラインダーで削ったりバーナーで焦がしたりしながら、まさに体を張っての製作でした。
秋田市内の学校の学生に森の中にある木の実や植物などを集めてもらい、それを目に焼き付けるかのようにじっと見つめたかと思うとおもむろに古材に刻み込んでいく。そんな作業を繰り返しながらだんだんと出来上がっていきました。写真ではわかりにくいと思いますがいろいろなモチーフが散りばめられ、暖かい、そして力強い"作品"であり、筆の勢いならぬグラインダーの勢いまで感じられる類を見ない、ここでしか見られない日比野さんの“作品”となる大扉です。

大扉、中扉、祭壇のアートワーク
そしてサウンド・スペース・コンポーズ

出祐昭さんは表参道ヒルズなどの音環境を手掛けている方です。世の中に数多くあるセレモニアルホールと呼ばれる施設の多くは、音の環境について意外と考えられていないような気がしていました。映画館や劇場、コンサートホールなどであればそんなことはないのですが、結婚式場のようなところでは利用時間が短いこともあって"音"は大事にされていないと思うのです。でもここで式を挙げられる二人にとってはまさに舞台に立つのと同じくらい晴れ晴れとした出来事な訳ですから、音のもつパワーや優しさ、エネルギーのようなものを大事にしたいとお願いし、ここに聖域空間の音ととでも呼べるような音環境が作り出されました。残念ながらこればかりは実際に体感して頂くしかありませんが、ここではコンサートも行われているくらい、音が気持ち良く感じられる空間になっているのです。 forest01.jpg
クリスタル・サーカス・フォレスト