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新しい花火について

新作花火コレクション審査を終えて。

花火と題名

 皆様、お疲れ様でした。
 さて打ち上げる花火には、各々「題名」がつけられていますね。普通私たちはこの「題名」から打ち上がる花火を想像しますが、その題名が具体的であるとき、似ているかな?と思って花火を見ていることが多いですね。見る人にとっても共通の“記号”のようなものであるときと、そうでない場合とがありますね。どちらにしましてもコンテストにとって「題名」は、意外と見る人にとっては大事な要素かもしれませんね。例えば私の専門のひとつである舞台の場合も「赤い花」という歌だったりするとき、どこかがステージ上で赤くなるということをお客さんは期待しています。そういう中でどんな“赤”なのか、いやもしかして“赤”じゃないのか、ひとつ考えどころになります。

shinsaku029.JPG打ち上げに先立っての審査員紹介。

shinsaku505.JPG「新しいことはとても近いところにある。」講演中の海藤。

新しいものは真ん中の横っちょにある

 ところで、人の顔を研究した人の話では美男美女とはいろいろな顔の平均値であるということを聞いたことがあります。きれいな顔と皆が思うのは、真ん中あたりのものだということです。今回の花火大会では、参加者皆それぞれに新しく違ったものをつくろうとしているわけですが、新しいものは今やっていることのほんの少し横っちょにある気がします。専門家というのは、ついつい端っこのところにいってしまいがちで、個性を出そうとすればするほどそうです。でもど真ん中を目指すことが大事だと思うのですね、根性入れて。花火は1回しか見られないものですから、この1回で伝わらないものは表現になっていないということだと思うのです。

ど真ん中へ

 舞台照明の世界では、使える機材、スポットライトはだいたい5種類くらいです。これを皆が使って個性あるデザインをするわけです。しかし個性を出そうとするのですが、ずっとやってきているとよく言えば芸術的になってしまう。不自由になってしまう。だからど真ん中をいいと感じる普通の人の目を持ち続けることが大事なのではないかと思うのです。特にエンターテイメントには必要なことですから、コンセプチュアルにあまりならずに、楽しくなければ花火じゃないくらい腹を据えてもいいのかもしれません。
shinsaku162.JPGアフロヘアーの花火

09shinsaku46.JPG春の花火

遠回りも大事

 極端なことを言えば、皆さんはもう花火を学ばなくても良いのかもしれません。例えば友人のひとり、ホンダF1の監督だった桜井淑敏さんは、若い頃芸術的な分野を目指しておられましたが、そのまま進んだら何か欠けてしまうと考えて全く反対の機械工学を学ばれたと言います。それでF1の世界でワールドチャンピオンを獲得されました。そんな人もいますが、新しいものを作り上げるには、より多くのことを知ったり体験したりすることは必要であると思います。ですから皆さんもあせらず、遠回りすることをおすすめします。そうすればたとえば冒頭に申し上げました花火の「題名」についても、それについての自らの語らいが増え、さらに深まることに繋がると思いますし、これからの創造的な花火を創っていくことに必ず役に立っていくことと思います。